先月9月27日に政府は、年内に適用期限を迎える住宅ローン減税を延長する検討に入ったと報じられました。詳細は年末に決定するようですので、今後も目を離せないニュースとなります。
今回は、このニュースに関する某ネットニュースのコメント欄に寄せられていた意見について思うところがあったので記事にしました。
コメントの内容は、「住宅ローン減税よりも、『消費税』『所得税』『ガソリン税』など、もっと他に減税すべき税金があるだろう」という内容でした。その中でも圧倒的に多かったのが「固定資産税を免除、減税して欲しい」という声です。コメントの中には「永遠に続く分けの分からない税金」とまで表現されており、衝撃というよりかはショックを受けました。
このご時世なので十二分に気持ちは理解できますが、あまりにもポジショントークによる発言が横行していたので、今回の記事では『住宅ローン減税を延長する目的』と『固定資産税の存在意義』の二点を私なりの解釈で説明致します。
まず、住宅ローン減税を延長する一番の目的は、政策の内容の通り「新規住宅取得者への支援」です。消費税の増税による消費者への負担を少しでも減らすために始まったこちらの政策ですが、新型コロナウイルス流行を受けてこの度、再度延長となりました。
もう一つの目的は、国としての「経済対策」です。消費税増税に加えてコロナウイルス流行の渦中だと、不動産の買い控えが起こるのは当然のことだと思います。もし不動産の買い控えが起きてしまうと
①住宅ローンを融資する『銀行等金融機関』
②マンション、戸建てを新築販売する『建設業者』
③建設業者に木材等建材を卸す『建材業者』
④土地・中古不動産等を取り扱う『不動産業者』
⑤家具・家電等を取り扱う『家電量販店』『販売店』等々
上記の業界を中心に幅広い業界がダメージを受けることになり、経済的な損失も大きく、その結果各家庭の収入にも影響を与えかねません。
『住宅ローン減税の延長』はこのような損失をなるべく起こさないための政策とも考えられます。
次に固定資産税についてです。『不動産の1月1日における所有者』に対して市町村が課する税金ですが、市町村税収における固定資産税の割合は、約4割(都市計画税を含むと約5割)と税収の大部分を占めています。ここだけを見ても、もしこの税収が無くなったり減ったりすると『社会福祉』『子育て支援』『生活保護』『道路・公園の整備』等の地域サービスの劣化が起こる可能性があることが分かります。
さらに不動産に関する部分でも大きな影響があります。
これは極端な例ですが、もしも固定資産税が課されないと不動産の所有者はコスト無く不動産を所有し続けることが出来るため、リスクを負ってまで土地に建物を建てたり、人に貸したりと積極的な活用をしない可能性があります。所有不動産が「空き家」になっても、『税金がかからないから放置する』といった選択を取る人も一定数出てくることが考えられ、現在の日本で課題とされている『空き家問題の解決』にも当然逆風となります。
上記のような経済の停滞の他、『土地の流通量が減る=土地の価値が上がり続ける』ため、所有している富裕層がリスク無しで財産を増やし続けることが出来、格差の拡大にも繋がり得ます。
このような問題が起きる可能性があるため固定資産税には、『不動産を所有すること自体に課税=何もせず放置するとマイナスになる』⇒『マイナス分の利益を生み出す行動をする』⇒『経済活動の活発化』という循環を生む効果もあります。
当サイト内別の記事でも再三にわたり記載していますが、「購入および賃貸」どちらの選択をしても必ずメリットとデメリット、そしてリスクもあります。不動産は特に一生に一度とも言える大きな買い物のため、これらをしっかり理解した上で、ご自身にあった選択をすることが求められます。
不動産のことで、ご不明な点やご質問等がございましたらご遠慮なくお問い合わせ下さい。
※当記事は、本・新聞・ニュース等を踏まえた上での個人の見解・解釈であることをご了承下さい。
Komentarze